今月のこんにちは

  • 今回の表紙はときわや商店の時本 好子さん。
  • ご主人が描いた素敵な絵を目当てに訪れるお客さんも多いそうで、壁一面に様々な絵が掛けられています。
  • 店内に履き物が多いのは下駄屋さん時代の名残りだそう。
  • 好子さん力作のタペストリー。
  • ぱちり!
    ぜひ一緒に!とのことで編集人水野とツーショット
    ※撮影の時のみマスクを外しています。
  • 店先のペコちゃん人形は不二屋銀座本店からやってきたそう。「子供達が蹴っ飛ばしたりするから足がもうダメね。2時間くらい座り込んで売ってくれという人もいたのよ。」

ご主人が描いた絵と街の皆さんの作品が飾ってある和やかな雑貨屋さん。

今回は九品仏商店街に古くからある「ときわや商店」の時本好子さんにお店の歴史や九品仏商店街の昔の様子について伺いました。

お店について教えてください。

24歳で嫁いだときから直ぐにお店に立つようになりましたけど、お店はいつからあるのかしらね?60年くらいあるのは分かるのだけど…おじいちゃんの頃は下駄屋さんで、それから雑貨屋さんになりました。うちにスリッパやサンダルが多いのはその名残ですね。網戸の取り付けまでしていました。注文をもらって中窓くらいのを2枚か3枚くらい抱えて取り付けに行ったりもして、いろんな経験させていただきました(笑)。
誰に言われたわけではないですけど、自分でやらなきゃいけないって覚悟がありましたから、下駄の立て方や鼻緒のすげ方はおじいちゃんが鼻緒がずれないように叩きながら、キチッと締めているのを見て自然に身につけました。お客さんの足に合ういい頃合いにするのが一番大変。あんまり固く締めるとまめができちゃうからね。

商品のこだわりについて教えてください。

パンやお菓子、教室での小麦粉は全て国産で、豆乳や自家製米麹甘酒を使ってパンを作っています。本当に美味しいと思った材料を色々な場所から送っていただいています。好きだから、作りたいから作るというのが基本ですね。漢方の知識や体調、季節を意識した食材を入れて作っています。最近は竹炭のパンやグルテンフリーの米粉のキッシュとかも作っていて、人気があったら続けるという感じです。親御さんのリクエストで、野菜嫌いのお子さんでも食べやすいドーナツ型の青汁を使ったパンを作ったりもしています。作ってみたら大失敗…ということもあります(笑)。

店内に素敵な絵や作品が飾ってありますね。

昔は通路を通り抜けできないくらい商品が置いてありましたけど、今はうちの主人が描いた絵やお客さんが持ってきた作品、私が作ったタペストリーとかも飾ってあります。主人の作品は大きいのが多いからもう重くて持ってこられなくて、今は人気のあるのだけ飾っています(笑)
これを見に来るお客さんもいるんですよ。いろんな人が話をしてくれて、気づいたらいろんなお年寄りが来るようになったの。家庭や友達に話をすると角が立つような事でも私がふんふんって聞いてあげたらそれですむのよ。きっとお休みする場所がほしいのよね。

夫婦円満の秘訣は?

「あなたは絵描きさんなんだから、山でもどこでもいって描いてきてちょうだい。だけど、私はここに居て生活のためにお店を守ります」って私言ったの。生活がありますし、おじいちゃん、おばあちゃんの介護もありましたから。一日中働いた後に、仲よくする、けんかするってやってられない。もう仲が良いとか悪いとかいう次元じゃないね。今こそ「もうっ、しっかりしなさい!」とかってけんかしてるけど(笑)。

お店を切り盛りしていて大変だったことは何ですか?

本当に忙しかったときは配達と仕入れに追われていましたね。
宅急便がなかったですし、運送屋さんは高かったから、仕入れは風呂敷に下駄とか草履とかを縛って肩にかけて浅草まで往復で2時間くらいかけて電車で通っていました。先が見えなくなるほど荷物を両手にも持って長い階段を上ってたら、後ろから来たおじさんにひょいっと荷物を取られて、びっくりして必死で追いかけていったら、「そこに置いとくから、安心して上がってこい!」って言われたこともありました。見てられなかったんでしょうね(笑)「ありがとうございまーす!」っていったらその人ひゅってどっか行っちゃった(笑)。そういうのが日常茶飯事でいい時代でしたね。夏には麦わら帽子が良く売れていました。大きいし40〜50個って量が多くて持ちきれないから問屋さんに朝行って買って、取り置きのお願いをして夕方にまた行くの。もう昔お世話になってた雑貨屋さんなんかもお墓に入ってるかもしれないけど…お世話になりました(笑)。

昔の九品仏商店街の様子を教えて下さい。

洒落た感じのお茶屋さんとか、今まいばすけっとがあるところにお米屋さん、そのとなりが洋服屋さん、紳士服のお店も並んでいました。小杉薬局さん、有楽庵さんも豆腐屋さんも糸屋さんもあって、生活用品は一揃え買えていましたね。お隣の大和屋精肉店さんとはおばあちゃん同士が仲が良くて、お互いに長い付き合いになりますね。みんなで団結しているのが日常で普通ですね。だってお水くむったて、今みたいに水道もなかったから井戸でしたし自然とつながりができてましたね。
新年は新しい下駄をすげたり、たてたり、間に合わないくらい賑やかで忙しかったですね。ちっちゃい子が親御さんに連れられて小さな塗り下駄を選んでいるのも可愛かった。お正月のぽっくりが並んでいるのも綺麗でした。昔はお寺に幼稚園があってその子供達がけんかとか怒られたときのストレス発散に店先のペコちゃんを叩いたり、蹴ったりしに来ていました。そんな子達が大きくなって「おばちゃん!きたぞ!」なんて赤ちゃん連れてきたり。私は幸か不幸か子供ができなかったから、じゃあ、この子達って、子供や孫がたくさん居るみたいに思っています。

店舗情報

ときわや商店

電話番号 03-3701-5564
営業時間 13:00 - 17:30
定休日 金曜日